エオルゼア社会科見学旅行

2022年7月初めてエオルゼアの地に降り立ちました

寄り道(6)シルバーバザーの様子

知らないお宅の客室で

 

寄り道:Lv4.お前ヒマか!?

 格闘士修行のためにスコーピオン交易所をうろうろしていたら、オスェル から「おいお前! ヒマだな! ヒマなんだろ!  荷物配達の仕事を手伝え!」と声をかけられた。

「ベスパーベイから送られてきた、東アルデナード商会宛ての荷物がどーにもこーにも見当たらねーんだよ! どいつもこいつも似たような箱しやがって! 東アルデナード商会の荷物は全部で3つだ! ソッコーで見つけて、持って来てくれよな!」

 一方的に用事だけ言うと、オスェルは「ここは泣く子も仕事を与えられる、物資輸送の中継地点、スコーピオン交易所だ! ベスパーベイって港から荷揚げされた品が、ここを経由してウルダハや集落に向かうんだがな多いんだよ荷物が! 足りないんだよ荷運び人が!」としか喋らなくなる。

 オスェルっていつもせかせかしているな。人手も足りないし荷物の管理も行き渡らないし。喚きたくなる気持ちもわかる気がする。

 交易所内を、櫓の階段を上ったり下りたり、平台に飛び乗ったりして散在する荷物を調べ、東アルデナード商会宛のものを回収した。

 「ソッコーで頼むぜ!?」と迫られて荷物を渡すと、「おーっしゃこれだこれだ! これで配達に間に合うぜ、ありがとよぉ!」と喜んでくれた。

スコーピオン交易所ってのは、物資輸送の中継地点だ! 西へ東へ、毎日目まぐるしく荷物が行き交ってるから、俺ら荷運び人もてんてこ舞いだ! 昔なじみの友達と、一杯飲む時間もありゃしねぇ! まーったく、もっと楽して儲けてぇぜ!」

 ほんとだよな!

 最後の一言には同感しつつ、まあ楽な儲け話には裏がありがちなので、こんなふうに愚痴っているだけが平和だと思う。

 

寄り道:Lv6.はばたけ、お前

 オスェルは荷探しがひと段落すると、今度は手紙を出したがった。本当に忙しない人である。

「俺ら荷運び人つったってよぉ、毎日毎日、人様の荷物を届けるので精一杯さ。馴染みの友達に書いた手紙も、届ける時間がありゃしねぇ」

 だから、自分の代わりにシルバーバザーまでキキプ宛の手紙を配達してほしいとのことだった。

「それと手紙には、ハンマービークの尾羽根を5枚添えてもらいたい。羽は近くにいるハンマービークから入手できるぜ」

 なんだか洒落た習慣があるんだね。

「キキプは古い馴染みでな。あいつの住んでるシルバーバザーに関して、最近、妙な噂を聞いて、ちょっと気になってるんだ。頼んだぜ」

 日が暮れ始めていたが、交易所から西へ向かい、初めてシルバーバザーを訪れた。エーテライトはないが、大きな広場を囲むように建物が間隔をあけて並ぶ。今までに行ったことのある集落より広く感じる。夕暮れということもあり、寂しい広さだった。

 崩れた煉瓦壁の一角で焚き火を囲んでいる人たちがいる。

「全く、何人かの強情者のせいでシルバーバザー周辺の再開発が進まん。さっさと権利書を売ってどこかに行ってくれんかな」

 スポッテッド・メドウは怖いことを言った。杭打塔の関係者だろうか。

 本当に土地が足りないのだな。そこらじゅうに何もない土地があるけれど、人が住むのに向いているかは別問題だ。

 石造の建物の屋上で、「他で商売やろうぜ」と話しているのが聞こえた。

 いくつか屋内に入れる建物があるが、視点の切り替えに慣れず酔いそうになるのが困る。

 奥の建物は平屋だが屋内は裕福そうな雰囲気で、隅に使用人が控えていた。中央の丸テーブルに主人らしき男が一人で座っている。その前には何もない。ただ椅子に腰をおろしているだけのようだ。

「汚い手で家具に触るなよ」

 近づくとそう言われる。

 広場の中央には井戸がある。周りにそれを祭るような飾りや日よけ用の細い柱が円をつくっている。その名の通り井戸端会議に興じる人たちがいて、彼らの話題もあまり景気が良さそうには聞こえない。

「どんどん人が

「また引っ越したって」

 シルバーバザーから退去する人は増えているのだろう。スポッテッド・メドウが望むような人数でないだけで。

 所在なげに立つガルフリダスは「今日は漁にはでねぇよ。明日になったらまた考えるさ、明日になったらな」と言う。今日だけでなくずっと先延ばししているに違いない。

 件のキキプも井戸のそばに立っていた。

「何よ、あんた冒険者!? もしかして、あいつらに雇われて嫌がらせに来たの? アタシはここを一歩だって動かないんだからねッ!」

 開口一番すごい剣幕だ。私はオスェルが書いた、キキプ宛の手紙とそのあたりで狩ったハンマービークの色鮮やかな尾羽根を手渡した。

「ハンマービークの尾羽根と手紙? あらこの手紙、オスェルからじゃない。どういう風の吹き回しかしら、どれどれ

 知り合いからの手紙と知って、彼女の表情は一転して穏やかになる。私にも手紙を読み聞かせてくれた。

『キキプ、元気か? シルバーバザーに立ち寄ることもめっきりなくなって、お前と会う機会も少なくなっちまった。シルバーバザーは今、厄介事が起きてると聞いた。お前もそんなシケた集落で、いつまでも腐ってちゃ駄目だ。大きく羽を広げて、はばたくときじゃないか?』

 無遠慮に聞こえるが、昔馴染みならではの率直さなのだろう。

「は、はばたくってだからハンマービークの尾羽根を添えたってわけ?」

 私は風情のあることをするなあと思ったのだが、キキプは両手を広げて呆れたふうだ。

「バカみたい、だいたいハンマービークって飛べないわよ?」

 そうなの??

「それに悪いけど、余計なお世話よ! 私はこの集落から、はばたくつもりは毛頭ないからね! ええ、テコでも動くもんですかッ!」

 一瞬和らいだ表情が、再び頑固に戻った。スポッテッド・メドウの言う何人かの強情者には、彼女も含まれるのだろう。

 

寄り道:Lv6.迷惑な作業員

 オスェルの依頼を受けた私を見込んだのか、気を取り直したキキプは言った。

「あんた、よそ者にしてはイイ顔してるわね。このキキプ姉さんのお願い、聞いてくれる? 嫌がらせをしている、迷惑なやつらを追い出してほしいの! ここの東に、朝から晩までガッチンガッチンやってる大きな杭打塔があったのを見たかしら? そいつらは、あそこで働いてる作業員よ」

 彼らはそんな汚れ仕事もしているのか。

いえ、作業員というのは真っ赤なウソ。悪い奴に頼まれて嫌がらせをしてるのよ! 住民を脅したり、店に難癖つけたり、やりたい放題なの! あんたみたいな冒険者が問い詰めてくれたら、ビビってどこかに行くはずよ。人助けだと思って、お願いきいてくれるかしら?」

 地上げ屋を問い詰める? 逆に詰められるのでは

 おどおどしながら集落をまわる。

 「店はやってないぜ」と項垂れる人の前に立っていた迷惑な作業員は、私が近寄ると「うるせえなぁ。見世物じゃねえぞ、あっち行け」と海の方向を指差した。

 問い詰めると、「ったく、うるせえな」と吐き捨てる。

「お前、あのキキプとかいうクソババアの差し金だろ? へっ、こんなことをしたところでどうせ近いうちに何もかもなくなるんだ。せいぜい無駄な努力をしてるんだな」

 キキプの、というかララフェル族の年齢感なんてよくわかりますね。自分より年上っぽい女性に悪態をつくときの語彙が全部それなのだろうか。貧困ですねえ。

 キキプ自身は「看板娘って言ったら、娘なのッ! 何よ! アタシだってまだまだ若いんだからッ!」と言っていたので、若いのだと思う。

 集落の北にある坂を降りると桟橋に出る。そこにも迷惑な作業員がいた。こちらは桟橋の真ん中に寝転がっている。

 こんなところで唐突に人が横になっていると、具合が悪くて倒れているのかと心配になる。私は紛らわしいことは避けるべき、という思想だ。

「ふああなんだよ、誰がなんと言おうと俺はここで寝るんだ」

 寝るのは自由だが、全く日陰のない場所で寝るとあとで後悔するのでは?

「あーもー、うるせェなあ、眠れねえだろ! シルバーバザーは人も落ち着けねぇ、クソ集落だなぁ!」

 文句を言う彼が去った後、再び集落へ戻る。波止場の階段の途中に腰をおろした人が「仕事さえあれば」と独りごちるのを聞く。求人が充実していれば、誰かに迷惑をかけて報酬を得ようとする人がいなくなるのだろうか。

 ここにはダニェルという子供もいた。

 いくつかの集落に出入りしているが、子供の姿はあまり見かけない。冒険者や商人、労働者などが主だ。だから珍しく感じる。貧民窟で見かけたのは家族でそこに住んでいるからで、やはりブラックブッシュ停留所やホライズンは定住者のいる集落ではないのだろう。

桟橋でお昼寝

 

 他にも迷惑な作業員が二人いるはずだったが、なかなか見つからない。

 入れないと思い込んでいた建物の中に彼らはいた。織物を広げる台の上に、構わず座り込んでいる。靴を履いたまま。

「へっ、ジャマして金もらえるなんて、楽な仕事だぜ」

 それは許されてはいけませんなあ。

「チッ、面倒くせえな、まったく。あ~あ、キキプさえいなけりゃ、計画はすんなり進むのによォ」

 キキプをターゲットにして四人がかりで嫌がらせをしているらしかった。最後の一人は「あ~ん!? 何か用かよぉ! 俺は休憩に忙しいんだぜぇ~!?」と開き直る。

「けっ今日はこれくらいにしとくか。あ~、嫌がらせは楽し~い~ぜ~!」

 片手を腰にあて、人差し指を向けながら問い詰めると、彼も去っていった。

 私は迷惑な作業員たちがここを離れたことをキキプに報告した。

「ふーっ! いなくなってせいせいしたわ! あいつらの狙いはわかってるの。住民を追い出して、ここの土地を買い上げるつもりよ。杭打塔は、地盤の基礎固め工事用に建てられたの。目的はここら一帯に新しい高級居住地を作るため。シルバーバザーの土地も、その計画の範囲内。つまりやつらの目的は、地上げよ! この土地から私たちを追い出すつもりなの! フン! 誰が逃げたりするもんですか! 確かにこのシルバーバザーは寂れた集落、どんどん人が去っていって、店もまばらになってるわ。でも、ここは私の故郷、思い出の詰まった場所なの。このキキプの目の黒いうちは、金持ち連中なんかに負けないんだからねッ!」

 あたりは再び夕暮れを迎えていた。北東に沈む陽光を受けてキキプが宣言する。誰も口を挟めない勢いだ。

 寂れかけた土地でも、こういう決意を持った人がいれば、何かのきっかけで事態は好転するかもしれない。