エオルゼア社会科見学旅行

2022年7月初めてエオルゼアの地に降り立ちました

体験学習:格闘士(1)

笑いすぎて咳き込むおじいさん

 ウルダハにある全ギルドに入門して回ろうと思い、最後に格闘士ギルドの門を叩いた。ギルドマスターであるハモンには前に話を聞いたことがあるし、エーテライト・プラザに近くて立ち寄りやすい。七番目の門に残しておいた。

 

Lv1.疾風の格闘士

 受付のガガルナが「鍛えぬいた拳と蹴りで、素早く敵に連続攻撃を打ち込む格闘術。ここはかような格闘の使い手が、その力を磨く場所。貴方も格闘術を極めんとするのであれば、当ギルドに入門し、修行することをお勧めいたしますよ?」と誘ってくれる。

 ガガルナはグリーンの上衣に赤いベレー帽のような形の帽子を被っていて、ちょっと傭兵スタイルに見える。

 入門したいと言うと、まずはギルドの歴史を教えてもらえる。どこもそういう手順を踏むようだ。私もある程度の成り立ちを初めに知る方が、のちのためになると思う。良くも悪くも納得の回数が増える気がする。

「手足を武器とした武術というもの自体は、ウルダハだけに留まらず、エオルゼア各地でそれぞれ発達を遂げてきました。ですが、コロセウムにて拳闘興行が始まったことで、各地から格闘術の使い手がウルダハへと集まるようになったのです」

 お金が絡むとある種魅力的に映ったり、モチベーションが上がる人も多いだろう。

 興行がうてるほど人が集まれば、拳闘興行を通じて各流派の技がぶつかり合い、磨き抜かれる。そこに、ひとりの天才が現れたそうだ。

「女拳闘士コーネリア。彼女は武器を使わぬ拳闘試合だけでなく、 剣闘試合にも出場し、大会で優勝さえ果たしました」

 拳闘と剣闘、音だけで聞いていたら勘違いしそうだ。前にもこんな話を聞いた気がすると、剣闘士ギルドで聞いたコロセウムでの試合の話とごっちゃにしかけた。

 コロセウムは剣闘士ギルドの施設と思っていたのだけれど、格闘士ギルドも異種競技などで参加していたのかな。

「そんな彼女に、教えを請おうと、多くの者が集まるようになったのは道理というもの。彼女が体系立てた技こそが、現代格闘術の源流であり、彼女が築いた道場こそが格闘士ギルドの礎なのです」

 今は興行に関係なく、技を磨く場所なのかもしれない。

「格闘士ギルドの歴史を聞き、血が沸いて来ませんか?それぞ格闘士に流れる血、闘魂でございましょう!」

 自分に沸るような血が流れているとはあまり思わないのだが、この世界では必要なものに違いないので学びたい。

「ハモン様はかつて拳聖と呼ばれた、凄腕の格闘士です。現役を退いてからは、ここで若手の指導をしておられますが、その腕は、老いた今もなお健在です。さあさあ、気が変わらないうちに、奥におられるハモン様に、入門の意志をお伝えください!」

 ハモンは前に訪れたときと変わらない様子で立っていたが、声をかけると「フォッフォッフォ、遅かったのう。踊り子の姉ちゃんに、ワシの恋文を渡してくれたかの?」と聞かれた。

 相変わらずだ。

「む?見知らぬ顔じゃのう。もしやお主、格闘士ギルドの入門希望かえ!? こりゃあ嬉しいのう!!では、伝説の格闘士であるこの拳聖のハモンが、お主のために、格闘術の説明をしてやろうかのう!」

 私が子供の頃に放送されていたアニメで見たようなタイプのおじいさんで、懐かしいような気持ちになる。ハモンがいくつくらいかわからないが、彼より若いであろう踊り子さんに夢中になっているとしても、微笑ましい言動のように受け取れるのがなんだか不思議だ。

「格闘術とは、己の鍛え抜いた四肢を使い、軽やかに連続攻撃をたたき込む武術であるぞ。一撃の重さよりも手数の多さこそ格闘の本分!」

 ハモンは前にも格闘術は連続攻撃の浪漫だと言っていた。

「格闘士ギルドに入門すれば、無限と続く連続攻撃を、このワシから直々に教わることができるのじゃっ!フォーッフォッフォッフォッフォッ!」

 高揚したハモンは高笑いしているうち、咳き込み、腰を折って肩で息をするから心配になる。拳聖といえど、見た目には老年だ。

ぜぇぜぇ久々にたくさん喋って疲れたのう。さ、さぁお主に問わせてもらうぞい。無限の連続攻撃を手に入れるために、 厳しい修行を乗り越えてゆく闘魂はあるか?」

 闘魂あるかな。でもとりあえず勢いで「はい」と頷いた。

闘魂あんまりない

「フォッフォッフォ!若いもんの熱意は、ええもんじゃ。よし、さっそくお主の討伐手帳に、格闘の鍛錬に相応しい敵を記した項を加えておくぞい。そして、格闘士としての一歩を踏み出した若いお主に、このウェザードホラもプレゼントじゃ!」

 ウェザードホラは取手のような形をしていた。ボクシングで使うようなものを想像していたが、あれは防具だ。こちらはナックルダスターから一本ずつ指を通すための枠を省いたデザインである。

 指の位置が固定されず、掌に握りこんでおかないと攻撃に使う部分が安定しなさそうだ。握力が弱いと、打ち込んだ拍子に武器がくるっと動いて自身の指関節をぶつけてしまいそうな気がする。

 そんな心配はお構いなしに、ハモンは私の力量の程を試したい様子だ。

 

Lv1.拳の一撃

「よし、いい格闘士の顔つきになったのう!」

 装備を整えた私を見て、ハモンは手を叩いた。

「スナッピング・シュルー、マーモット、ヒュージ・ホーネットを、それぞれ三体、倒してみてきんしゃい!もちろん全て、そのホラを使って、じゃ!全ての魔物を倒したら、報告しに帰ってきんしゃい!」

 九州の方言みたいだ。エオルゼアの中でも北部や南部といった地域で言葉遣いが違ったりするのかな? そもそも言語は一種類なのかしら。

 格闘士の戦い方には型というものがあって、壱の型から始めて参の型まで繋げ、再び壱の型に戻る。決まったものを連続して使えるのは、初心者には考えることが少なくて嬉しい。

 ジョブガイドの詳しい説明を見ると、そんなに楽はできないと考えが改まったが、できれば序盤は難しいことを減らしたい。

 戦闘を行うクラス、剣闘士、呪術士、格闘士を体験してみて、格闘士が一番取り付きやすくはあった。でも、どうなんだろう。どれもまだよくわかっていないのが本当のところです。

 課題の討伐を終えてギルドに戻ると、ハモンがにこやかに迎えてくれた。

「おお、帰ってきよったか。若いもんはええのう、スタミナが有り余っておるようじゃ!敵と戦い、修行をつむことで、お主自身のスタミナは上がっていくのじゃ。じゃから、日々の鍛錬を大事にするんじゃよ?」

 ウルダハのおじいちゃんって呼ぶことにしようかな!

 自分の祖父にこういう距離感で接したことがないので、軽口を叩いたりするのはちょっとくすぐったい。

「若いもんは多くの可能性を秘めておる。お主の成長が楽しみじゃ!フォッフォッフォッ!」

 笑いすぎてまた咳き込まないでねおじいちゃん。