エオルゼア社会科見学旅行

2022年7月初めてエオルゼアの地に降り立ちました

冒険者への手引き

ここは通さない



 外の様子はどうだろうかと、クイックサンドの外に出てみたが変わったところはなかった。ユユタジもブブックリも、早くモモディのところへ行けと手を払ってみせる。

 まだまだ動ける範囲は狭いので、店に戻り、やっとモモディの話を聞いた。

 第二の故郷となるこの街の主な施設を回ってくるようにとのアドバイスで、まず三箇所を巡ることになった。

 すると急に周囲が賑やかになり、多くの冒険者たちの姿が見えるようになって驚いた。私と同じ緑の二葉の印をつけた人がいる。自分の他に冒険者のいない静けさもよかったが、これも良いと思えることにほっとした。

 ここまで話しかけることができなかった人にも声をかけることができるようになって、これは忙しくなるぞと高揚する。

 

 モモディのいるカウンターの並びに、宿屋・砂時計亭の受付があり、オトパ・ポットパに尋ねるとまだ泊められないとすげなくされた。霊災後の治安悪化で、女将の信頼を得た客にしか部屋を貸していないそうだ。

 冒険者指導教官は新米冒険者(ビギナー)を支援する制度について教えてくれた。

 ボタルフは商売を続ける難しさについて語った。ライバルが多く、流行り廃りが激しい、出し抜かれないように警戒していなければならない。早速、儲け話の多いことを喜んでばかりもいられなくなったということかもしれない。

 ギルドリーヴという冒険者に仕事を斡旋するカウンターもあった。ユースタスは、やはりモモディの紹介が必要だと言う。冒険者ギルドの世話役の顔も持つ彼女の覚えが良くなければ、何事も始まらないのだ

 パパスは、自分のことをただの給仕だと謙遜するが、料理が特技だと言うし、クランペットという特製バターのせパンケーキはとても美味しそうだ。元冒険者だった彼女のパートナーが今やすっかり太ってしまったのは、きっと伴侶の料理が美味しいからに違いない。

 クイックサンドの店名の由来についても話してくれた。流れる砂のように人が行き交い、混ざり合う場所、流砂の意味を持つ。砂漠の乾いた砂は掌に握っても、さらさらと落ちてしまう。パパスの目には、世界を旅する冒険者は掴みどころがなく映るので、ぴったりの店名だと感じている様子だった。

 フロアを見回すと、樽の上にララフェル族が座っている。ケケザニに近寄ると、ぐぅぐぅ眠っていて、寝言まで聞こえた。何かを運転する夢でも見ているのだろうか。

 

 兎にも角にもモモディの指示に従おう。 

 まずはエーテライトのある場所に向かった。折に触れ、冒険の基点となるエーテライトには触れておけと言われるので、そうした。クイックサンドを出て西の施設に大きなクリスタルがあると教えられたのだが、織物の店のある明るく広い通りから、見通しのよくない回廊へ進むのは不安がある。三つの回廊は抜ければ一本の通路に通じ、その先がエーテライト・プラザなのだった。地図があっても及び腰になってしまう。

 突き当たりの階段を降りると、円形の部屋の中央に巨大なクリスタルが青く光っていた。あたりも青い光を受けて、神秘的で厳かな雰囲気だ。交感する人の面が青白く照らされる。冒険者たちの間を抜けて、自分もそこに近づいた。

 交感を終えて佇む私に、ネネバルが声をかけてきた。

 モモディから連絡を受けていたらしく、私のことはすぐに見分けがついたようだ。エーテライトの使用料10万ギルを払え、と言われぎょっとさせられたが、すぐに冗談だと笑ってくれた。

 エーテライトについて丁寧に説明してくれたのは、そのお詫びだということだ。より詳しく知りたい時も無料で教えてくれる。

 

 クリスタルにはエーテルが秘められている。そのエーテルの力を用いて、人や物を遠くに転送するための装置がエーテライトである。

 エーテルとは全ての命の源、魔法の原動力とされる。生きとし生けるもの、魔物や植物も含めて、全ての生きものの体に宿っているものだそうだ。植物の息づく大地にも膨大なエーテルが奔流となって巡っている。地中に流れるエーテルのことを地脈と呼び、地脈に自分のエーテルを乗せて望む場所に移動する魔法が転送魔法だ。

 代表的な転送魔法のデジョン、テレポの利用を補助するためにエーテライトは作られている。だからエーテライトの賜物と言えるのだろう。

 エーテルの結晶がクリスタルで、エーテライトには巨大なエーテルの塊が用いられている。

 大きなエネルギーを利用するのだから、地脈の流れに乗るのも難しいのでは?と思ったが、流れに乗ること自体は比較的簡単だそうだ。

 しかし目標を定めずに地脈に乗ってしまうと、二度と戻って来られないかもしれない自殺行為となる。だからエーテライトを灯台のような目印にして、出入り口として利用するのだ。地脈が交差する結節点にエーテライトは置かれ、そこで初めて転送先として機能する。

 行き先が曖昧ではいけないので、一度装置に触れて交感しておかなければならない。エーテライトは世界各地にあり、訪れる先々で交感していけば、距離をものともせず快適な旅ができるようだ。

 誰が最初にこのエーテライトを設置したのだろう。台座も整えられていて、洗練された意匠のオブジェにも見える。街を設計する前からあったのか、街づくりのために置かれたのか、その歴史についても気になる。

 

 ネネバルと話し終えると、私はデジョンを修得していた。転送魔法!魔法が使えるとはすごいことだ。

 ウルダハのナル回廊にあるエーテライトをホームポイントに設定した。

 このデジョンはテレポよりも扱いやすい転送魔法らしい。精神的負担が少なく、気軽に使える。その分エーテライトが重要で、ホームポイントと定めた帰還地点にしか転送できないらしい。もし他の場所でデジョンを使うならナル回廊が帰る場所になるということか。

 テレポは交感したことのあるエーテライトならどこにでも転送できる。場所が選べるけれど使用者への負担が大きく、集中力を要するので、状況に応じて使い分けるものだそうだ。テレポを使うには、手数料も必要だそうだし。手数料はエーテライト網の復旧費用を補うために徴収されているようだ。

 私が使える移動手段は、しばらく徒歩かデジョンに限られるのだろう。

 

 ウルダハの街のまだ一区画しか歩いていないくせに、歩行距離だけは稼いでいるような気がする。地図には、目的地を示す印があるのだが、どうもスムーズに辿り着けない。

 急ぐ旅ではないので、焦らず回ることにした。寄り道は旅の醍醐味だ。

 回廊の先に何があるのかわからないから手前でうろうろしてしまうし、区画の境界を示す点線を越えることにも躊躇する。何もかもわからないことが原因の不安だ。ここは異世界なのだし、先に進めばわかることが増えるということは知っているので、何も躊躇う必要はない。

 進んでみると行き止まり、ということも多く感じるが

 

 エーテライト・プラザから出て大通りに戻る。ベンチのあしらわれた植え込みが間隔をおいてあり、そこで住民が思い思いに過ごしていて、ワイモンドもそのあたりに立っている。

 ベンチに座っているアグニスは会員以外がカジノに入れないことに憤慨していた。向かいにあるのがそのカジノなのだろうか。彼女の友人は、ギャンブルで身を持ち崩し、挙句盗賊になってしまったらしい。怖や怖や。

 そばに立っていたランドは、すぐそこにある施設がウルダハのグランドカンパニー・不滅隊の作戦本部だと指したが、今の私には「すぐそこ」がわからない。グランドカンパニーという組織も初耳だった。実力のある冒険者なら、出身問わず所属できるようだ。

 

 道の端で盛り上がっているグループがいる。素肌に関節部分用の鎧をつけた屈強な人が腕を振り上げていた。それへ声援を送っていたジェネットは、フランツという剣闘士の試合を楽しみに来ていて、随分物騒なことを言う。

 ウルダハにはコロセウムという剣闘士が試合をする施設があるそうだ。ローマ時代のコロッセオという闘技場のことは昔歴史の授業で習った。この世界でも奴隷制度が関係しているのだろうか。

 

 ナル回廊を西に進んでみる。建物の影に立っていたディディラタに声をかけると、私を金貸しと見間違えた後、「脅かすなよ!」と怒ってしまった。

 道々に設置された都市内エーテライトにも触れていく。そうすると都市転送網を利用できる。ここには呪術士ギルド前という名前がついていて、バス停みたいだなと思った。

 

 階段の段差は低いが、案外この街には階段が多い。微妙な高低差をつけて作られているところも、自分の位置感覚に不安を覚える理由なのだろうか。もっとも、道に迷うのは石造りの城壁が私の身からはあまりにも高すぎて、空や太陽が視界に入らないせいのように思う。

 また階段を降りる。そこにいたヒヒトは「今日は商人組合の婦人会で昼食会よ!」と話してくれた。婦人会での見栄の張り合いにお金がかかってしまうとこぼすのを聞くと、人付き合いの不得意な私は一歩以上退いてしまう。でも、そこに闘志を燃やすタイプの人もいるだろうし、案外彼女も楽しんでいるかもしれない。

 

 細い脇道に入って奥まった階段を降りるとエラリグ墓地がある。質素だが六角形の棺が安置されている。呪術士ギルドが近いから、この墓地の番人をしているイードギサはそこの所属なのだろうか。

 

 うろうろと彷徨いすぎて、私はナナモ新門から西ザナラーンに出てしまった。敵と戦ってみようと勧められ、焦って引き返す。

 ザル回廊の手前で、コロセウムの呼び込みをしているボボニマが今日の注目は人気急上昇中の「麗しの剣士フランツ」だと声を張り上げている。ジェネットが言っていた剣闘士のことだ。

 呼び込みの二人はピンクのストライプ柄のジャケットを着ていて、あまり猛々しい催しと結びつかないが、他には人間戦車ゲオルクという通称の闘士もいるらしい。

 どんな試合内容なのか見てみたくもある。

 

 モモディの指示では、冒険者の装備を整えるのに適したウルダハ一盛況なサファイアアベニュー国際市場へ行くように言われていたのだが、私のToDoリストではいつの間にかセセロガから国際市場の説明を受けるとなっており、国際市場はナル回廊のルビーロード国際市場もあって勘違いして、踊り子の前をかなり往復してしまった。

 目的のサファイアアベニュー国際市場はザル回廊にある。

 そちらに向かおうとすると、銅刃団と似た装備の人物が「貧民どもを連れてくんなよ?」と警戒するような、日当たりの悪い薄暗い通りに出た。

 壁際でだらりと腰掛けているランデベルトなる男が「ここは、俺らみたいな貧民の吹き溜まりだ。仕事を求める奴、投げ銭を乞う奴、カモを狙うやつどだい冒険者が関わるような人間じゃねぇよ」と言って私を追い払った。

 国際市場へと歩きながら、仕事を求める者もカモを狙う者もウルダハには大勢いそうだがと考える。彼の自分は貧民であるという意識が、強い卑下に繋がってしまうのだろうか。

 活気ある通りに挟まれたそこは、急にあらわになったウルダハの暗部という印象で、少し違和感もある。

 

 ようやくサファイアアベニューに辿り着いた。すぐ目の前に、セセロガがいる。首には金に輝く首輪をつけているし、眉間の印も何か富に関する力を感じさせる。  

 セセロガはこの市場を仕切っている人物だった。市場のことを教えてほしいと頼むと、せめて100ギルくらいの袖の下をよこせと言われてしまった。代わりにモモディがしたためてくれた紹介状を渡す。するところりと態度を変えた。

 ウルダハはアルデナード小大陸の陸路の起点、バイルブランド島など蒼茫洋の島々と大陸を繋ぐ海の玄関口でもある。人の行き来が盛んであれば、それを見込んだ人が更に集まり、人が集まれば金も集まる。

 古くから交易の中心地だったウルダハには多くの組合、商会ができて、商取引に関わる金融、貸金業や投資業も発達したという。

 今まで耳にした話題に、あまりに金に関する事柄が頻出したので、私がウルダハに抱くイメージは『人の目に金ばかりが映っている金の街』だ。

 

 サファイアアベニュー国際市場は北側に素材、薬、料理、アクセサリ、防具の店が並び、南側に武器、よろず屋、道具・用具の店が並んでいるらしい。ルビーロードよりも狭く感じるのは、それだけの店がひしめいて往来の人が多いからだろう。

 ぼったくられないように気をつけないと。

 珍しいものがあるからといってキョロキョロしていれば財布まで掏られてしまう。

 案外親切に教えてくれたセセロガに、いつかお礼する機会があるといいが。まずはモモディにしっかり伝えなければいけない。

 

 最後の目的、剣術士ギルドへ挨拶をするために移動を再開した。

 薄暗いパールレーンに戻り、南へ向かう。途中、扉の前に立っていた人相の悪い男と目があった。

「ウチのファミリーに『仕事』を頼みたいのか?」

 こういう場所でこういう男が口にする『仕事』はきっと後ろ暗いものに違いない。そう思った私はそそくさと去った。

 

 裁縫師ギルドの手前に飾られた紫色の服を、ビビチュアとソソッタがずっと見上げている。一流のビビチュアには、ウルダハ製の服の価値の高さがわかるらしい。ソソッタは一流のファッションリーダー、裁縫師のギルドマスターであるレドレント・ローズに憧れがある様子だ。

 回廊の出入り口に立つ銅刃団のラーキング・リーチは、人々のお洒落を羨ましがっていた。彼の一張羅は、今着ている銅刃団の装備だそうなので、家から出る時はずっとその格好ということか。予備の装備がもう一着くらいあるといいのかもしれない

 西に向かい、採掘師ギルドの手前に大きなシルクハットを被ったブルースカイの案内人が目に止まった。ブルースカイとは新設された闘技場だという。会員か関係者のみのクローズドな遊興施設のようだ。

 

 政庁層をぐるぐる歩き、やっと目印に近づいた。そのまま赤絨毯の階段を昇って行くと何故か、ロイヤル・プロムナードに出てしまった。階段の手前にいたのは銀冑団の装備らしかったが

 とりあえず濃赤の通路を一周してみる。

 ジェンリンスは自分の属する近衛兵団・銀冑団のことを誇らしげに教えてくれた。現女王ナナモ・ウル・ナモ陛下に忠誠を誓い、その剣と盾になる組織にふさわしい装備に見えてくる。街で見かけた白と青が基調の装備よりも、銀や金の色味が増えている。格上の肩書きを持った人かもしれない。

 通路にはあたりを見回している商人風のララフェル族もいる。

 ロイヤル・プロムナードの西の扉前にいたレレロトが、その扉の向こうがフロンデール歩廊、歩廊の先にあるのが錬金術師ギルド。歩廊には銀冑団の総長室もあると教えてくれた。

 

 確かにレレロトは総長室としか言わなかった。私はてっきり剣術士ギルドもそこにあるのでは?と期待したが、地図に印がない。落胆しつつ、赤絨毯の階段を降りて北側に通じる回廊に入った。ようやく、剣術士ギルドと目印が見えてほっとする。

 ここにも闘技場の呼び込みがいる。銅刃団のユユバヤが見張りを放って観戦に行きたがっていた。コロセウムはこの階層にあったのか。

 ということはコロセウムには剣術士ギルドも関係があるのだろう。映画で見た古代ローマグラディエーターのイメージが強くて、この世界の剣術士と結びついていなかった。

 ギルドマスターのミラに声をかける。剣術について教えてくれそうだった。道に迷いすぎてすっかり疲れていたので、ミラにはまた後で話を聞くことにする。

 ギルドの受付にいるルルツは、のんびりと話すタイプのララフェル族だ。

 コロセウムで戦う剣闘はウルダハの国民的娯楽であり、その歴代の剣闘士チャンピオンを多く輩出してきたのが剣術士ギルドだという。

 最強の座につけば大金と人気を独占できる。剣一本でそれを成せると聞けば、厳しい修行にも希望者が集まるのだろう。説明がそれだけなら短絡的にも思えるが、チャンピオンになるための戦法や技の開発と研究も積極的に行われているらしい。

 やる気になったら入門してと勧誘を受け、強制されることもなく話は終わってしまった。

 

 早速デジョンを使ってホームポイントに戻った。

 クイックサンドでモモディが軽く労ってくれる。素直に頷くばかりの私に、女将は「素直な冒険者は大好きよ」と言った。

 集めた人材に稼がせ、浪費させる。それが彼女のウルダハのためになるのだ。

 

双子かな

 

 今日出会った人々

オトパ・ポットパ(砂時計亭)

ユースタス(ギルドリーヴ)

ケケザニ

ネネバル

アグニス

ランド

ジェネット

ディディラタ

ヒヒト

イードギサ

ボボニマ

ニニシャ(リンクシェル

ランデベルト

人相の悪い男

ビビチュア

ソソッタ

ラーキング・リーチ(銅刃団)

セセロガ

ジェンリンス(銀冑団)

レレロト

ユユバヤ

ルルツ(剣術士ギルド)

 

 話せなかった人

修理屋(名前はあるが話せない)、旅のモーグリ、遺失物管理人、報酬品管理人

天気予報士は街角に立っていて、各地の気象変化を教えてくれる。

 

 交感したエーテライト

呪術士ギルド前(ナル回廊)

マーケット(サファイアアベニュー国際市場)

冒険者ギルド前(ザル回廊)

裁縫師ギルド前(ザル回廊)

採掘師ギルド前(ブルースカイ)

彫金師ギルド前

ウルダハ王政庁

剣術士ギルド前(コロセウム)