エオルゼア社会科見学旅行

2022年7月初めてエオルゼアの地に降り立ちました

Opening〜ウルダハへ

広すぎる

 異世界に行ったことはない。

 現実が辛いとき、「このままどこかに飛んじゃわないかな」「目を開けたら違う世界にいないかな」と思ったことは子どもの頃によくあった。

 異世界へ行けたとして、幸せしかないのか不幸せしかないのか、考えても仕方のないことだ。

 オンライン上にエオルゼアという世界があって、そこに素晴らしいストーリーとキャラクターたちがいることを知っている。

 その異世界へ旅する条件が整ったので、出かけることにした。

 機敏なララフェル族の、平原に進出した系譜を持つプレーンフォーク族男性の姿を借りている。

 初めに見えた景色は、星が遠い仄暗い宇宙のような空間で、途切れ途切れに女性の声が聞こえた。声は太陽のように輝く彼方からするようだ。近づこうとすると、闇が立ち塞がり、黒衣の人物が現われた。太陽のような光の球はそれをかわすように、こちらに向かってくる。

「聞いて、感じて、考えて」

 とてもいいフレーズだ。

 私はその光球から大きな力を得て、剣士の鎧を纏った。対峙する黒衣の人物は、赤い仮面を光らせ、今にも襲いかかってきそうである。武器を持った私は戦い方を知っているらしい。剣を掲げたところまでは見えた。

 

 車輪の軋む音がする。

 私を心配する人の声で目が覚めた。

 うなされていたらしく、その人はエーテル酔いの影響だろうと察してくれる。この世界にはそういう症状があるらしい。

 幌付きの荷台で、私は長持ほどの木箱に腰掛けていた。向かいからターバンを頭に巻いた人が穏和な目をこちらへ向けている。

 ごつごつとした岩場の乾いた道を、どこかへ向かって進んでいる。御者がいるであろう前方は、エスニックな織物に遮られて見えない。

 後方からダチョウより逞しい大きさの黄色い鳥がやってきた。武装した人が騎乗していて、鳥にもそれなりの装備がつけてある。

「そこのチョコボ・キャリッジ!止まれッ!」

 急な検問だった。徒歩で近づいてきた兵士が荷台の後ろにまわり、積荷を調べる素振りで自分の腰元から小さな袋を取り出した。そうしてわざとらしく「ご禁制のソムヌス香があった」と騒ぐ。

 隊長と呼ばれた兵士を含めた四名ほどに囲まれ、罰金をよこすか、牢に入るかを迫られ、向かいの人がやれやれと頭を横に振った。

 瞬間、一本の矢が飛んできた。なんと私はこの矢の気配に気づいていた。

 矢はアマルジャ族という巨体の部族が放ったものらしい。手の甲にナックルのような武器をつけた者もやってきて兵士に拳を振り上げている。

 私たちの乗ったチョコボ・キャリッジはその騒ぎの間を抜けて、先を行くことができた。

 

 声をかけてくれた気さくな同乗者は、素行の良くない銅刃団と蛮族と呼ばれるアマルジャ族の話をしてくれた。ウルダハに着くまでの間、話題は尽きなかった。

 ブレモンドと名乗った旅商の他に、同乗者は二人いた。銀髪の若い双子、見るからに双子とわかる二人だ。髪を結ったリボンの色から、女性と男性だろう。女性は不機嫌そうにずっと目線を下げていて、男性の方が眠っているようにも見える。ブレモンドは彼らにも声をかけたようだが、愛想なくあしらわれたらしい。

 私は、見慣れない民族衣装を着ていて、流れ者で、新人冒険者だった。

 この世界では、冒険者になって名を馳せるという夢はポピュラーなもののようだ。けれども危ない生業だということも知られている。

 戦禍から復興途中のこの地域では魔物が凶暴化しているそうだ。

 「どうして冒険者になったのか」と問われたら、四つの選択肢があらわれた。

 まだ目覚めたばかりで、冒険者になった自覚もないけれど、無言を通すのは避けたい気がして、力を得たいと答えた。現実の私は富を欲している。

 力とは戦いに通じ、戦いは冒険者の本分。ブレモンドは、街に着いたらまず冒険者ギルドに登録して、腕や名声を上げてから、ファイターやソーサラーたちのギルドに入門するように勧めてくれた。ウルダハでは剣術・格闘・呪術が盛んだという。

 

 ブレモンドはウルダハに行くのが初めての私に、エオルゼア随一の物流量を誇る交易都市国家についても教えてくれた。

 王家に忠誠を誓う王党派と、商人による自治を望む共和派が長く対立し、金が飛び交う権力争いが絶えないこと。ウルダハはアマルジャ族と敵対していて、侵入を許す場面も増えてきていること。

 内憂外患というやつだろうか。

 戦争で物資が高騰すれば商人は潤うというのは歴史の授業で習う。そこに共和派もかんでいるかはわからなかった。

 ウルダハは鉱山都市で、黄金都市。城壁の周りが荒野の景色だと、なんだか儚い城のようにも見える。

 街に着いて、双子は揃って歩いて行った。城壁内で顔を合わせることもあるだろうか。

 褪せたような黄色の幌付きの荷台は、銅刃団衛兵の乗っていた大きな鳥と同じ二頭のチョコボに引かれ、驚くべきことに地面から浮いていた。車輪の軋む音だと思ったものは、荷台や金具の鳴る音だったようだ。

 ブレモンドは世話になった礼と餞別だと言って何かをくれた。こちらは何も世話をしていないし、名前も名乗っていない。心の広い文化があるものだ。

 

 長く続くのか短く終わるのか、私の旅路はウルダハからスタートします。

 

夜空もきれいだった

 

 

 今日出会った人

・声のする光球

・赤い仮面の黒衣の人

・ブレモンド ウルダハ周辺の旅商

・よく似た若い双子

・銅刃団の衛兵

・アマルジャ族

 

 気になるWord

・ララフェル族 プレーンフォーク

・黒衣の人

・銅刃団 組織

・ソムネス香

・アマルジャ族

チョコボ・キャリッジ 移動手段

冒険者ギルド

・ウルダハ 王党派 共和派