エオルゼア社会科見学旅行

2022年7月初めてエオルゼアの地に降り立ちました

寄り道(5)食べ物回

隠れて寝てる人がいます

 

寄り道:Lv7.新作のアイデア

 王立ナナモ菜園の農夫ヒヒヤジャが私に仕事を紹介してくれた。「冒険者なら仕事を探しているだろう?」と言うのだ。

 ふと『冒険者』ってなんだろうなと考えた。私自身は冒険に馴染みがなさすぎる。冒険者にはハイリスクハイリターンを求めて事に挑んでいるイメージがあるけれど、彼らも普段は挑戦に備えて生きるために最低限の衣食住を整えなければならない。そういう生活費稼ぎの仕事を合間々々に行っているのだろうか。

 今回はその類の仕事のようだ。

 酒房コッファー&コフィンの調理人ウォウォバルが、新しい魚料理に挑戦しているので、その食材を持っていってやれば喜ぶんじゃないかというヒヒヤジャの提案である。

「俺は畑のもんだから、魚のことは詳しくないんだけどなぁ、オロボンってのは美味そうだなぁーって思ってたんだ」

 食べてみたいのだろう。オロボンは近くの川にたくさんいるという。美味しいメニューが増えればこの土地の名物になるかもしれないね。

 オロボンは息子想いの漁師に出会ったときに気になった魚だ。あれ、魚なんだ巨大な川魚ということか。百科事典を確認すると、

ごく稀に釣り上げられる深海魚の大物として、漁師だけが知る存在だったが、何らかの原因により、近年、河川や洞穴など淡水系の浅瀬に進出し始めた。エサの乏しい環境にいたため、その口は身体に比して非常に大きい。

とある。もとは深海魚だったと知ると納得の見た目だ。普段の世界では、見た目や顔の怖い魚が実は美味しいという話を聞くし、オロボンもそういう種類の魚なのかもしれない。

 四匹捕らえる最中に、剣術士としてLv10になった。

 この世界での私は獲った魚もすぐに捌けてしまうらしく、可食部分を携えて酒房に向かった。店のカウンター手前でウォウォバルが「魚、魚」と唸っている。オロボンの柔らかくて肉厚の白身を渡す。

「こ、これはオロボンの白身!? 僕が魚料理を開発中って知ってたんですね! ふーむ、この艶やかな白身。塩を振ってソテーにして、レモンをかければサッパリとしたつまみの一品になりそうだじゅるり」

 じゅるり。白身魚のソテー美味しいよね。油の代わりにバターを使ったものが好きだな。バターの甘味と塩味、レモンの酸味。たまにとても食べたくなる。

「いやー、この辺りではあまり魚類が捕れないものですから、とても助かりましたよ、ありがとう!」

 橋の下の川にたくさんいるが、あれを捕って食べようとした人はいなかったのか。それともオロボンが遡上してきたのがつい最近のことなのか。実は遡上魚だったのかもしれないし、霊災で生態系が変わってしまったせいなのかもしれない。

 いろんな状況を想像できて飽きない。

 

寄り道:Lv7.美味しい侵入者

 この店でウォウォバルと知り合ってから気になっていることがある。彼のそばでずうっと落ち着きなく話しかけている人物は誰なのだろう。酔った客なのだろうか。

 調理人としてのウォウォバルは、私が冒険者だと知って新たな食材の調達を依頼してくれた。

「ウチの名物、激旨モールローフは絶品なのですが、肝心の新鮮なモールの肉が切れてしまったのです。しかし、この店の外には僕が作成したアンテイムド・シュルーの捕獲用の樽を使った罠がバッチリ二つ、仕掛けてあります」

 その罠にかかったアンテイムド・シュルーを倒して肉を取ってきてほしいとのことだ。

 獲物の名前と肉の名前が一致しないので疑問に思い、再び百科事典を確かめる。モールの項があった。

地中を掘り進め、トンネル状の巣を形成する大モグラ。発達した眼球と鼻腔で土中のワームを見つけ出し、根こそぎ食べてしまうため、園芸師や漁師には評判が悪い。亜種に、背に並んだ棘で身を守るハリモグラがいる。

 ヒヒヤジャを悩ませていたスニッピング・シュルーの仲間らしい。モグラの仲間は素材になるとモールで総称されるのかな?

 

 ウォウォバルの仕掛けた罠を探して歩いていると、そう遠くない距離にブラックブラッシュ停留所があるとわかった。ウォウォバルには悪いが、食材調達の前に寄ってみる。

 ウルダハ操車庫から続く線路が走っていて、手前に鉄灯団の衛兵が立っている。今まで目にした衛兵の中で一番堅牢そうな装備を身につけている。灰色がかった艶消しの甲冑が格好良い。

「今日も今日とてブラックブラッシュ停留所は大忙しだよ。第七霊災からの復興特需で、金属需要は右肩上がりだからね。衛兵の給金も、上がってくれりゃ文句ないんだけど」

 線路を渡ると大きなエーテライトの周りに店や施設があり、寂しい場所ではない。エーテライトとテレポについての説明もあったので、後で把握しやすいようにまとめてみようかな。

 停留所らしくホームの上には様々な装いの人がいる。

 一人でいて話しかけやすそうなエトフレドに、この施設について尋ねた。

「ナナワ銀山で採掘された鉱石が、列車でここに届くの。中の施設では、鉱石の精製をしているんだけど、それがまた、炉の熱気で暑くて蒸すのよね。外で列車を待ってるほうが、よほどマシだわ」

 精製施設の職員のようだ。

 入り口にいた鉄灯団員と同じ鎧をつけたウォーリンは「俺たちゃアマジナ鉱山社の自警組織・鉄灯団だぜ」と自己紹介した。

「ここを走る列車は、アマジナ鉱山社の運搬列車だからな、俺らがバッキバキに警戒をしているわけよ」

「この線路の上を、鉱山から来た青燐機関車が走るんだ。ずっしり重い鉱石を満載した貨物車を引っ張ってね。私たち鉄灯団がこうして目を光らせているから、列車は安心して走ることができるのよ」

 ウォーリンの仲間のエーセルギスが詳しく教えてくれた。

 同じ会社が運営しているウルダハ操車庫所長パパシャンが、リリラのためにつけていたのは銀冑団だったから、あれは仕事ではなく私用だったのだなとぼんやり思う。

 ホームの下にいるヅヅメダは「人がいる場所には、商人が必ずいる」と言う。こういう場所で最新情報を交換しあうらしい。

 石造りのホームの横に、木箱や樽の置かれた荷置き場があった。そこで深刻そうに俯いているゼゼダに声をかけると、荷物の数を数えているところだった。

「えーと……? 毎日たくさんの荷物が来るから、わけわかんなくなっちゃう!」

 話しかけるたびに数がわからなくなってしまう。そういう地獄がありそうだ。申し訳ないことをした。

 首を上に向けると、ここは案外大きな施設だった。線路には鉱石を移動させるための滑車つきの大きな装置がある。炉の屋根周りの地形にスロープが設けられていて、そこから遠景も見ることができる。

「鉱石の量増えすぎじゃね?」

「お前もそう思う?」

 そんな会話が聞こえた。

 炉のある施設の前に立っていたエルレッドは着ている服からも上役といった様子だ。聞くと、ここができてからずっと施設の管理をしているらしい。

「列車から降ろされた鉱石はごちゃまぜだからな。腕っ節のいい奴に、種類毎に仕分けしてもらってる。俺も昔は現場で製錬をする側だったんだがな。手を傷めちまったのさ、霊災の時の話だ」

 鉱石の選別は細かそうだ。それなりの重量もあるだろう。力も目の良さも必要なら、作業の重要度を把握しているベテランは捨て難い戦力に違いない。

 鉱石を製錬して金属、主に銀、霊銀、銅を取り出しているらしい。

「屋根の煙突から、煙が出ていただろう? あの下にはファイアクリスタルを使った炉があってな、高熱で鉱石を溶かして、製錬してるのさ。できた金属は人気宝飾店エシュテムをはじめ、ウルダハのさまざまな工房に卸されているんだ。そうしてアクセサリーなんかに生まれ変わるわけよ」

 旅の中継地点と同じような場所と思っていたが、製錬所が稼働している場所なら、そのうち建屋が増えたり居住地ができたりするのだろうか。

 

 ここには今まで会ったことのない職業の人々がいる。地域の治安を見出す危険な敵、リスキーモブを追うモブハンター。討伐に成功するとエオルゼア都市軍事同盟から同盟記章という報酬が与えられるという。

 ウルダハから広がるザナラーンの交易ルートは、第七霊災以前より自警団である銅刃団が守っていた。

 オスベルトはその誇りが強いらしい。

「実力派揃いの銅刃団を維持できるのは、砂蠍衆を含む富豪による資金援助のおかげである! 風来坊の冒険者だとしても、それくらいは覚えておくよう!」

 製錬所の建物の端にひっそりと立つ彼が誇示するのは、この停留所の来歴によるのかもしれない。百科事典には、ブラックブラッシュ停留所が以前は銅刃団駐屯地に過ぎなかったと書かれている。

アマジナ鉱山社が鉄道を敷設し、停留所を設けたことで様相が一変した。採掘された鉱石を製錬するための最新式高熱炉が設置され、ウルダハの産業を支える働きを見せている。

 

 初めてチョコボ屋に話しかけ、ポーターについて教わる。チョコボ留はチョコボ屋さんに話しかけると、ルートを繋げる手配をしてくれて一度訪れた場所との区間チョコボに乗って移動できるシステムだ。

 決められたルートを走ることに特化して訓練されたチョコボたちだそうだ。乗っている間は魔物に襲われない。駿足自慢のチョコボが、ブラックブラッシュからウルダハまで一分十五ギルで走ってくれる。

 重そうな郵便バッグを掛けて宙に浮かんでいるレターモーグリは、五年前の「空からお星さまが降って」きた霊災でエーテライトもリンクシェルも使えなくなり、大混乱が起こったのをきっかけに配達士になったらしい。

「森のお友達に頼まれて、モグがみんなに大切なお手紙を届けたクポ。森を出て見知らぬ土地を飛び回るのは怖かったけど、いつの間にか、旅のミリョクの虜になってしまったクポ!」

 手紙が届いているときは、このレターモーグリから受け取ることになるそうだ。

 この停留所の北東向きの門から街道が伸びている。アラグ陽道というキャンプ・ドライボーンとハイブリッジを経由して黒衣森まで続く大街道だと、鉄灯団の衛兵が教えてくれた。

 

 寄り道が長引いてしまったので、急いで罠のある場所へ向かう。線路伝いに南下すると、トンネル近くの山肌に樽を使った罠があった。すぐそばにLv50アヴゼンという変わったモンスターがいたのでおっかなびっくりだった。

リスキーモブさんですか

 激旨モールローフを作るのに必要な、新鮮なモールの肉を二つ、ウォウォバルに届ける。

「引き締まった肉質に、新鮮な色艶。これですこれ、新鮮なモールの肉! ありがとうございます! アンテイムド・シュルーは、畑のミミズを食べて栄養豊富! 僕の秘伝のタレとよく合う、いい肉質なんですよ。さ~て、早速仕込みに入りますかね! 貴方のお陰で調理が捗りそうだ!」

 こんなふうに適度に狩っていけば、王立ナナモ菜園の土中のミミズが食い尽くされずに済むのかもしれない。